この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は恒常的に残業をしていましたが、固定残業代の定めがあるから残業代は出ないと会社に説明され、それを信じて10年以上その会社で勤務してきました。しかし、ある日新聞記事を見て、自分も残業代を受け取れるのではないかと考えるようになり、労働局に相談に行ったところ、会社に労基署から指導が入りました。それでも会社から支払われた残業代はわずかなもので、納得が出来なかったため、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
会社側が「固定残業代」であると主張する手当は、裁判所の求める要件を到底満たさないものであり、相談者が残業代を請求できることは明らかでした。そこで、受任の上残業代を計算し、数百万円の請求を行ったところ、会社も弁護士をつけて、固定残業代の主張のほかに、「タイムカードは正確ではない」「会社は残業を命じていない」などと色んな反論をして、こちらの請求を争ってきました。しかし、裁判では結局会社側の反論はほとんど認められず、こちらの請求をほぼ認める形で和解が成立しました。
多くの会社で導入されている「固定残業代」ですが、裁判所の要件を満たす形で適法に運用されてはいないことも多くあります。また、会社によっては、労基署が入っても正しく残業代を支払わないことも残念ながら少なくありません。会社に在籍したままでも残業代請求は可能です。少しでも不安や疑問があれば、まずは弁護士に相談してから考えてみることをお勧めします。