この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
20代,男性。奨学金や,知人に騙されて作った借金などで返済が苦しく,銀行のカードローンを次々に契約。借金をした当時はスーパーでアルバイトをしており,年収は200万円以下なのに,銀行系のカードローンは簡単に契約ができ,7社から160万円以上を借りました(返済は月に8万円以上)。借金に悩んで転職を繰り返し,うつ状態に陥っていました。負債総額400万円。債務整理を決意したときは警備会社に勤務していました。
解決への流れ
ご本人は任意整理か個人再生をご希望でしたが,精神状態が安定せず,長期間一定額の返済を続けることに不安があったため,協議のうえ,一気に片付けることにして破産を選択しました。ご本人が警備保障会社に勤務していたため,破産による資格制限との関係で転職先を探すなど準備を進めた上で破産手続開始申し立てました。同時廃止決定に続き間もなく免責許可決定を得ました。
貸金業法による総量規制が及ぶのは貸金業社に限られ,銀行法の適用を受ける銀行にはこの規制が及びません。この低金利時代にマチ金並みの金利で貸せるのですから銀行も融資に積極的です。貸金業者は直接には貸付をせず,銀行が貸す際の連帯保証人になります。借主が返済できないと,貸金業社が保証債務を履行して(これを代位弁済と呼びます。),銀行に代わって借主から回収します。本件の債務者ご本人は,年収が200万円ありませんでしたから,貸金業法による年収の3分の1を貸付の上限とする総量規制が適用になれば,大きな借金をすることもなかったはずでした。私達は,「約束は守らなければならない。」と教わっているので,ムリをしてでも借金を返済しようと考えます。しかし,頭の中が借金で一杯になり,心を病んでまで約束を守らなければならないのかどうか,立ち止まって考えましょう。