犯罪・刑事事件の解決事例
#物損事故

約100日間入院した物損事故

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大槻 厚志 弁護士が解決
所属事務所県民合同法律会計事務所
所在地千葉県 千葉市中央区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

依頼人は,運転手として中型貨物自動車を運転中,信号機で停車していたところ,後方から大型トレーラーに追突され,重症を負い,その後,病院に約100日間入院したうえ,さらにその後,約110日通院しています。さらに,その後も後遺障害第7級と判断され,軽易な労務以外の労務に服することができないと判断されたため,加害運転手及びその所属する会社に対し,損害賠償を求めた事件です。

解決への流れ

加害者が契約している保険会社との間の任意の交渉で解決するという可能性もありますが,バブル崩壊後,保険会社の支払は,損害額が大きくなればなるほど,被害者が要求する適正な金額についても,出し渋る傾向があり,弁護士がついていないような場合には,様々な理由をつけて,支払額を減額しようとする傾向があり,弁護士としては,到底納得できない金額が提示され,合意に至ってしまう場合も見受けられます。このようなことから,私は,保険会社が現在のような運用を続けていくのであれば,比較的軽微な受傷以外は,受任した事件について,依頼人の承諾の下,全て訴訟を提起して,適正な金額を支払ってもらうことにしています。本件においては,任意保険会社から治療費等として約910万円,自賠責保険から後遺障害分として約1050万円の合計1960万円の支払を受けていましたが,次のような請求をしました。(1)医療費関係① 治療費② 看護料③ 入院雑費④ 付添人(妻)の交通費と休業損害(2)通院交通費(3)休業損害(4)逸失利益(5)慰謝料① 入通院慰謝料② 後遺症慰謝料以上のような通常の損害のほか,本件における特別な損害として,次のような損害も請求しました。① 歯の治療代等② 子どもの保育延長料金③ 介護用ベッド代④ 身障者用運転補助装置⑤ 後遺症の認定後,自賠責の支払まで,1年4ヶ月かかっており(通常は1ヶ月程度で支払われる。),この間の遅延損害金も加算しました。その結果,請求額は,約4300万円(保険会社から受領した金額を除く)となりました。被害者である依頼人は,幸い,事務職として会社に復帰することができましたが,保険会社は,事故前の給与より38%減額されただけであるから,被害者の逸失利益を考える場合,後遺障害7級(56%減)を前提に考えるべきではないと主張しました。しかし,これに対しては,会社側の特別の配慮,運行管理者の試験に合格して正社員になる予定であったが,正社員になれなかった事実,仕事を継続する上での苦労,配置転換された事実,業務上のハンディキャップをカバーし,業務自体をレベルアップさせる努力,生活上の支障などについて立証し,賃金の減額は38%程度であるにしても,それは,会社の温情と本人の必死の努力があり,労働能力喪失率を56%以下とするのは妥当でないと争いました。その結果,裁判所から,和解案3200万円が提示され,保険会社からの給付金と合計すれば,5160万円ということになることから,依頼人も納得し,和解することとしました。

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大槻 厚志 弁護士からのコメント

弁護士としては,典型的な損害のみを損害として考えてしまう傾向がありますが,依頼人の話に誠実に耳を傾けることにより,細かいようですが,妻が夫を介護するため,子どもの保育時間を延長せざるを得なかったことによる損害や,通常のベッドでは寝起きが大変であり,介護用ベッドをリースしなければならなかったこと,さらには,会社に車で通勤するようになった後も,運転補助装置が必要であったことなどがわかり,依頼人の,このようなハンディは今も続いており,また,家族にも負担をかけているということをわかってほしいという気持ちを受け,損害として算定し,請求しました。その他,事故に遭わず,健常者であれば,会社において,将来的にどのような扱いになり,給与もどの程度になるのかというようなことも,会社の協力を得て主張・立証しました。当然のことですが,いくらお金をもらっても,もとの身体に戻すことはできません。しかし,被害者の置かれた状況を十分理解し,可能な限り,被害者のために損害を賠償させることが,弁護士のつとめだと思っています。被害者が重症を負ったうえ,さらに,その賠償においても,納得するような賠償がとれず,二重に傷つけられることは,なんとしても避けたいと考えています。