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そろそろ歩きタバコを「法律」で規制すべきか?
2013年09月04日 10時25分

タバコ片手に混雑した街中をかっ歩する「歩きタバコ」が問題視されている。単にマナーだけの問題ではない。「家族が火傷を負った、絶対に許さない」「煙で喘息が悪化した」など、歩きタバコの被害を訴える声は、ネット上でも数多く見つかる。

今年7月には、元AKB48の仁藤萌乃さんも「突然腕に激痛が走って何かと思ったら、歩きタバコをしている人のタバコがジューって…」と、歩きタバコの被害体験をツイッターで報告している。

歩きタバコは、東京都千代田区や千葉県柏市など多くの地方自治体が「条例」で規制しているものの、「法律」による規制はまだ存在しない。法律で禁止する必要はないのだろうか。受動喫煙対策などに取り組む岡本光樹弁護士に聞いた。

●ケガを負わせた場合は刑事罰や損害賠償責任を問われる

「歩きタバコそのものを規制する法律はありませんが、歩きタバコ被害に関連する法律は、すでに幾つかあります。また、多くの地方公共団体が、路上喫煙、歩きタバコ、ポイ捨て等を禁止する条例を制定しています。この中には、罰則規定のある条例も含まれています」

岡本弁護士はこう述べる。関連する法律とは、どんなものだろうか。

「たとえば、歩きタバコで人に火傷を負わせれば、過失傷害罪(刑法第209条1項)に該当します。罰則(法定刑)は『30万円以下の罰金または科料』です。

また、他人をケガさせたり、衣服を焦がしたりすることは民法の『不法行為』に該当し、被害者に対して損害賠償責任を負います(民法第709条)」

●法規制の必要性は高まっている

ただ、これらの法は事故発生後の「事後的な救済策」に留まっている。「歩きタバコによる事故」が起き続けていることを踏まえると、いよいよ、歩きタバコそのものを法律で禁止する必要性があると言えるのだろうか。

「そうですね。事故を未然に防止するためには、歩きタバコ自体を禁止する必要もあると言えるでしょう。

また近年は、『屋外の一時的な受動喫煙も重大な健康被害だ』とする声が、特に喘息、化学物質過敏症患者の方や、呼吸器の弱い方などから寄せられています。

このような必要性を踏まえれば、歩きタバコ(路上喫煙)を禁止する法律の制定は、正当であると思います」

●最高裁も喫煙の自由を「権利」とは断定していない

しかし、そうなると一方で「喫煙する権利」はどうなるのかという疑問もある。屋内外で喫煙場所は非常に限られてきているからだ。

岡本弁護士はこう述べる。

「過去の最高裁判例(昭和45年9月16日)は、喫煙の自由を、『権利』とは断定していません。仮に権利だとしても『あらゆる時、所において保障されなければならないものではない』……つまりは、制限を受けやすいものとされているのです。

さらに、この判決当時に比べて、受動喫煙の有害性に関する医学的知見は確固たるものになっています。また今や『ニコチン依存症』が病気とみなされている時代になりました。喫煙に対する制限は一層正当化されやすくなっていると言えるでしょう」

過去、2002年と04年に国会提出された「歩きタバコ禁止法案(軽犯罪法改正案)」は、いずれも廃案になった。しかし、ここまで喫煙者に対する風当たりが強くなると、いつ「3度目の正直」がやってきてもおかしくなさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

タバコ片手に混雑した街中をかっ歩する「歩きタバコ」が問題視されている。単にマナーだけの問題ではない。「家族が火傷を負った、絶対に許さない」「煙で喘息が悪化した」など、歩きタバコの被害を訴える声は、ネット上でも数多く見つかる。

今年7月には、元AKB48の仁藤萌乃さんも「突然腕に激痛が走って何かと思ったら、歩きタバコをしている人のタバコがジューって…」と、歩きタバコの被害体験をツイッターで報告している。

歩きタバコは、東京都千代田区や千葉県柏市など多くの地方自治体が「条例」で規制しているものの、「法律」による規制はまだ存在しない。法律で禁止する必要はないのだろうか。受動喫煙対策などに取り組む岡本光樹弁護士に聞いた。

●ケガを負わせた場合は刑事罰や損害賠償責任を問われる

「歩きタバコそのものを規制する法律はありませんが、歩きタバコ被害に関連する法律は、すでに幾つかあります。また、多くの地方公共団体が、路上喫煙、歩きタバコ、ポイ捨て等を禁止する条例を制定しています。この中には、罰則規定のある条例も含まれています」

岡本弁護士はこう述べる。関連する法律とは、どんなものだろうか。

「たとえば、歩きタバコで人に火傷を負わせれば、過失傷害罪(刑法第209条1項)に該当します。罰則(法定刑)は『30万円以下の罰金または科料』です。

また、他人をケガさせたり、衣服を焦がしたりすることは民法の『不法行為』に該当し、被害者に対して損害賠償責任を負います(民法第709条)」

●法規制の必要性は高まっている

ただ、これらの法は事故発生後の「事後的な救済策」に留まっている。「歩きタバコによる事故」が起き続けていることを踏まえると、いよいよ、歩きタバコそのものを法律で禁止する必要性があると言えるのだろうか。

「そうですね。事故を未然に防止するためには、歩きタバコ自体を禁止する必要もあると言えるでしょう。

また近年は、『屋外の一時的な受動喫煙も重大な健康被害だ』とする声が、特に喘息、化学物質過敏症患者の方や、呼吸器の弱い方などから寄せられています。

このような必要性を踏まえれば、歩きタバコ(路上喫煙)を禁止する法律の制定は、正当であると思います」

●最高裁も喫煙の自由を「権利」とは断定していない

しかし、そうなると一方で「喫煙する権利」はどうなるのかという疑問もある。屋内外で喫煙場所は非常に限られてきているからだ。

岡本弁護士はこう述べる。

「過去の最高裁判例(昭和45年9月16日)は、喫煙の自由を、『権利』とは断定していません。仮に権利だとしても『あらゆる時、所において保障されなければならないものではない』……つまりは、制限を受けやすいものとされているのです。

さらに、この判決当時に比べて、受動喫煙の有害性に関する医学的知見は確固たるものになっています。また今や『ニコチン依存症』が病気とみなされている時代になりました。喫煙に対する制限は一層正当化されやすくなっていると言えるでしょう」

過去、2002年と04年に国会提出された「歩きタバコ禁止法案(軽犯罪法改正案)」は、いずれも廃案になった。しかし、ここまで喫煙者に対する風当たりが強くなると、いつ「3度目の正直」がやってきてもおかしくなさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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